【馬場と時計的な判断による得意・不得意】
HPの冒頭では「時計のみによる馬の能力比較の無意味さ」ということを書いたが、イコール、時計を見なくていいということじゃない。過去の時計を見てこそ読み取れることがある。ただレコードを出した馬が強いという見方が嘘ということ。私なりに解釈するなら「レコードを出せる馬場状況では強い馬」ということになる。裏を返せば時計が出ない「荒れた芝」や「深くて重いダート」では、その馬は果たして強いのか?ということだ。その馬がどういう状況で強いのかはその馬場状況にもかなり左右されるものである。ここで対照的な2頭を挙げてみよう。ヘイアンエルドラドとオイワケダイモンがそれ。
ともに中山ダート1800mを1000万下で勝ったが、それぞれ状況には大きな差がある。ヘイアンエルドラドは新潟での1:52:8で2着というのが過去の最高タイム。02年の新潟は砂が浅くて軽く時計が速かった。その後中山で連勝したのはともに不良のダート。時計は1:53.8と1:52.9。水が浮いて脚抜きが良くて速いダートは得意という傾向がそのまま出ている。が、その間に一度惨敗したのが白井特別で11着。時計は1:55.9だった。ヘイアンエルドラドの体型は薄身で脚長、決してゴツいタイプの馬じゃない。そのため馬力は求められても困る。軽い蹴りでスピードを得られ、長い脚で高いスピードを維持することでこういう時計に対応できるということだ。新潟が得意だったのも馬場自体が浅く、硬かったからということ。
さて、その白井特別を勝ったのがオイワケダイモン。この時の1:54.0はこの馬の最高タイムでのもの。次走の利根川特別は稍重になってしまって3着(1:54.8)。その次のアプローズ賞は良馬場で1着(1:54.6)。そして昇級の2002フェアウェルSは3番人気に押されながらの11着(1:54.5)だった。つまりこの馬が走れる条件設定というのは時計の掛かる重い状況が合っているということ。上がりに対応できるのも38秒台後半がやっとだろう。体型的には骨太で胴長、ゴツい部類に入る。そのため大トビで脚を回すのが遅い。そのため重い砂で上がりが掛かる「バテあい」というシーンで生き残っていく形が理想な訳だ。
こういうことが分かってくると、この2頭のどちらが強いかという物差しはあまりにも無意味ということが分かる。ヘイアンエルドラドはレコードが出そうな速くて軽く脚抜きの良いダートで強い馬であり、オイワケダイモンは重くて脚抜きが悪く時計が掛かるダートで強い馬なのだから2頭が両立する方が難しい。2/8に行われた金蹄Sでは両馬が1枠で並んで出走したが、ヘイアンエルドラドは軽い馬場で5着(ただし展開がスローで間に合わない)。オイワケダイモンはスローを先行しながら脚の遅さを露呈して8着という結果だった。
こういうことはダートの1200mでもあるし、芝のレースでも同様の事象が起きる。スピード優先の馬、パワー優先の馬、その時の馬場状況と展開(バテあいなのか、決め手勝負なのか)で選択する馬も変わってくる。新PDF新聞などでも「ダ重い○」「時計速○」「脚抜良ダ○」「渋馬場×」「芝軽い×」「荒馬場○」などが書いてあるがそれぞれの馬の特徴づけの特記事項である。各馬がそれぞれ走った当時の状況とそのレースでは何が求められていたのか?そして今回の馬場をしっかり観察して、そのレースではどんな流れになって、直線何が求められるのか?を頭の中で具体的にイメージできるかどうかが予想の決め手になってくる。そう、大事なのはイメージ。これから起こるレースをしっかりイメージできればそれは当たりに近づけるし、イメージできないレースはやはり難しいということだ。
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